2016年11月08日

神社 水屋(手洗い場)修復 奮闘記

地元の神社境内の改修工事の際、水屋(手洗い場)移動運搬中に

柱が2本折れてしまい、その復旧工事の仕事の受注がありました。


当初は柱2本だけの交換の予定でしたが、

他の2本との釣り合いが悪くなるということから、4本に変更です。

神社 水屋(手洗い場)修復 奮闘記

構造も、調査していく段階で1度手をかけて、

元のものよりグレードアップ?したことがわかり、新規に図面を作成しました。

近くの神社を見て回ったところでも、この神社の水屋が一番シンプルです。

神社 水屋(手洗い場)修復 奮闘記

しかし,後付けの幕板が、外からビス止め+太鼓鋲で打ってあるなど

なんとも言えない形です。


他の職人からは「ぶしょったい」→(方言でカッコ悪い)と言われました。

作品は後世に残ります。


そこで、「前だけでも彫刻のはいった梁を入れてやろう!」

と、彫刻に挑戦しました。


彫刻の機械は、近所の方からお借りしていましたが、

実際に使った人もなく、そのままになっていたのを

機械の先端の歯を購入して「自分で仕上げてみよう」と思い

あえて、外注をせずに自社の施工にしました。

神社 水屋(手洗い場)修復 奮闘記

10種類の歯を購入していざ歯を取付てみると

やっぱりメーカーの違いで歯と本体の接続ができません。

試行錯誤の上、歯と本体接続部分にスペーサーを付けることで

機械との相性が良くなりました。 

その間3回ほど直しましたが(;^_^A


その機械は、元が回転して先端が振動するという形になっていて

電源を入れても安全装置があり、何も振動しませんが

木に押し付けると振動しはじめるという優れものです。


彫刻のデザインは、我が「大徳建築」先祖代々から受け継ぐ

秘伝書の中から、自分の感性と相談しピックアップしたものを、

一旦パソコンのキャド(ベクターワークス)に取り込んで

実際使用する梁の大きさに拡大コピーしA3用紙に印刷・張り合わせです。

神社 水屋(手洗い場)修復 奮闘記

と、そこまでは順調でしたが、問題は梁に墨付けです。

専門家ならもっと良い方法があったかもしれませんが

型紙をハサミで切りながら墨をつけていきました。

なんとか墨付けはできたものの、掘り方がわかりません。

機械は完璧ですが、実際使った人がいません。まして、説明書などありません。


仕方なくユーチューブで参考物件を探し、掘り方の勉強です。

掘っていくうちに、昔小学校の頃画板に彫刻丁で掘った記憶がよみがえり

コツをつかんできました。〇〇先生、ありがとう!

神社 水屋(手洗い場)修復 奮闘記

水屋に使用する梁は桧の無地材ですが、練習材料は、杉の並材です。


杉は繊維が固く、とてもむつかしいくて苦労しましたが

本番は桧なので、わりと楽に彫刻刀が動きました。


梁は、側面をかまぼこ状に丸くして形を整えていきます。

これでも上下では寸法を変えてあり、上で7ミリ下で10ミリほどに加工してあります。

神社 水屋(手洗い場)修復 奮闘記

鼻栓は俗に「像鼻」とも呼ばれ、像の形に似ています。

これも上下の差をつけ、両面掘りにしました。

神社 水屋(手洗い場)修復 奮闘記

先端をほそくしてこれでほぼ形はととのいました。

あとは彫刻のみ!

彫刻は面白く、毎日掘っていくうちに気持ちが入っていくようで時間を忘れます。

18時半から掘りはじめて翌朝6時半まで掘ったことがあります。

特に「像鼻」とも呼ばれる鼻栓は、掘っていくうちに、「命が吹き込まれる」そんな感じがしました。

神社 水屋(手洗い場)修復 奮闘記

上部構造

神社 水屋(手洗い場)修復 奮闘記

基礎部分

神社 水屋(手洗い場)修復 奮闘記

柱下金物

そうは言っても、工期があります。地元の祭りは10月8日~9日です。

それに間に合わせないと、意味がありません!

実際のところ、もっと掘っていたかったのですが、切りの良い所で終了です。

神社 水屋(手洗い場)修復 奮闘記

最終の鼻栓を付けたのが10月7日の午前中で、何とか間に合いました(;^_^A

神社 水屋(手洗い場)修復 奮闘記

神様、ありがとう御座います!!感謝!感謝!



◆工事内容

・水屋の屋根材全面改修(板金屋さん工事)

・柱 根巻き(板金屋さん工事)

・柱・梁交換(大工工事)

・土台石工事(石屋さん工事)



◆使用材料

・柱 桧4寸角(芯さり2面無地)×4 

・柱下金物 75 × 75 × t5(ステン)×4

・アンカーボルト 4分 h700(亜鉛ドブ漬け)×4

・梁 桧 105 × 210 × 3000(2面無地)

・梁 隠しスクリューボルト 4分 h200 ×2

・持送 桧 60 × 200 × 500 (4面無地)×2

・梁、持送結合 ダボ 18 ナラ材 ×4

・梁、持送結合補助 ダボ 15 ナラ材  ×4

・貫 桧 45 × 300 × 3000 (赤)

・貫 桧 45 × 300 × 1500 (赤)×2

・鼻栓 桧 105 × 210 × 500 (2面無地)×2

・釘、シリコン等

・塗料 ウッドロングエコ 2回塗り


◎神社住所: 牧之原市須々木468番地

◎神社名称: 須々木鹿島神社


筆者:ロビン










Posted by machi at 09:55│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
神社 水屋(手洗い場)修復 奮闘記
    コメント(0)